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支援の境目

震災が起こってから、
石巻市、東松島市、亘理町、大船渡市など、
皆さまの支援を集め、
これまでにいくつかの図書館を設置させて頂きました。

多くの方の支援を頂き、何とか形にできる、
それは大変尊く、何よりありがたい事です。

そして、多くの方が図書館を利用して頂ける姿を見る事が出来ると、
設置させていただけた事を素直に喜びます。

しかし、設置をすればするほど、
色々な声に出くわす事になります。
「何でこの集会所なの?」
「うちの集会所には設置してくれないの?」
「ここよりもうちの方が大変なんだよ…」

ある意味においてこの言葉は本当の事かもしれません。
実際はそうでないかも知れません。
しかしそれを測る事すら出来ません。
それが現実です。


東松島市のグリーンタウンやもとの第一集会所。
もうすぐ行われるクリスマスパーティーに向け、
地域の方が自主的に集まり、手作りの飾り付けを作成しています。
ここはほぼ毎日こんな感じです。
自治組織の予算もゼロなので、地域の方が東北の寒空の中、
自ら廃品回収などを行い、運営費をねん出するようにしています。
経済状況も厳しく、就業率もかなり厳しい状況の中、支援に頼らず、
何とか自分たちの力で頑張ろうとする、
その姿は心から尊敬に値するものです。

一方、この区画の隣にある第2集会所は、
施錠され、必要な時以外、誰も利用していません、、、
その距離は100mもありません。
一区画変わることで、地域の環境は変化してしまいます。
こういった風景は何もここに限った事ではなく、
いたるところで垣間見れる風景です。

全ての人に支援をしたい、と思っても
あまりにも広い被災地。
それは到底無理な事です。

その中で私たちは限られたエリアに限られた支援をする。
それしかできません。
しかし限られた支援をする、という事は
支援をされる人とされない人の境目を生む事でもあります。

支援をされない人の気持ちを測る事は出来ません。

今はもう年末。
震災から9カ月以上が経過し、
人の意識からも、ニュースなどからも、
少しずつ震災への興味が薄れてきます。
それはとても自然な事であり、むしろ次のステップに進むためには、
不可欠な事でもあります。

私にとってこの9カ月は、
人の気持ちの温かさを再認識すると同時に、
自分の非力さを痛感させられました。

ある仮設住宅に伺って、支援をさせて頂いたとしても、
その隣にある仮設住宅には伺えません。
仮に伺えたとしても、
その隣の区画にある仮設住宅には伺えません。
正直、自分の無力さに、何回も落ち込みます。
今も変わりはありません。

全部が無理なことぐらい当然分かってはいても、
やはり、少しでもどうにかしたいと
思ってしまいます。
どうにもならない、と思ってしまえば、
私たちが今支援をしている意味も、
多くの方から支援の気持ちを頂く意味も、
全く価値が無くなってしまうような気がしてしまいます。

来るたびにその事を繰り返し考えます。

そんな事を考えながらも、これからも支援は続けたいと思います。
そしてその支援を行う事で、境目を生んでいる。
悲観的な事ではなく、そういう事実が存在する。
その事を絶対に忘れずにいたいと思います。
それは支援を続ける原動力にも繋がるからです。
そしてこれからも、その境目を埋める努力を継続して
行っていきたいと思います。

そう思えば、自己満足で終わらない支援の形に
近づけるような気がします。

私たちの支援は地域の自立を最終の目的とします。
である以上、相手の状況を把握したうえで、
必要な場所に、必要な数の支援を行う。
それがいかに難しい事だとしても、
支援をする側の責任として、しっかりと意識しなくては
いけないのでしょう。

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