※ここに紹介するのはあくまでも一部であり、
全ての地域がこのような状況ではありません。
一つの事実として知っておいて頂ければ、と思います。
先日、とある仮設住宅の自治会の方からご連絡を頂きました。
自治会とはいっても、行政からの予算はほぼない中で、
自主的な集まりとして、地域の活性化のために集まった自治会です。
※上記写真はあくまでも仮設住宅のイメージであり、
今回の記事の仮設住宅ではありません。
その地区の仮設住宅は多数の団地で形成されており、
1000人以上の住民がその地区に住んでいます。
そして自治会も、団地ごとに作られており、
その団地の中でも、その方の自治会は比較的積極的な活動を行い、
問題は抱えながらも、前向きに活動を行っていました。
その自治会長さんから、
「他の団地の自治会の多くが、予算もなくなり、運営する人もいなくなった。
このままでは仮設住宅の自治会が崩壊するので、その中で頑張っている
ウチに、全体の自治会の管理をしてほしい、という提案を受けた。
どうすれば良いか、アドバイスしてほしい。」とのお話を受けました。
あまりの相談に言葉を失うとともに、怒りがこみあげてきました。
ちなみにその方は、震災で仕事を失っているため、
時折出稼ぎをして、生計を立てています。
当然それでは生活も成り立たないので、奥様も働いています。
その方に、1000戸以上ある地域の自治体を管理して欲しい、
というのです。
常識的に考えれば、なんて人の都合を考えない話。
と思うところです。
また、頑張っている人ばかり、割に合わないことになる、
とも思ってしまう事象です。
この問題には複数の原因があると思います。
・ボランティアが手を出し過ぎ、地域の自立を阻害してきた。
・今まで支援によって支えられてきた自治会だが、支援の手が細くなり、
自立が困難になった。
・自身の生活が厳しい方が多く、地域コミュニテイの維持に時間をかける
余裕がない。
・もとより、地域を支えるだけの人材、予算が圧倒的に不足している。
様々な問題がありますが、個人的には
その中でもボランティアの罪は大きい、と思っています。
誤解をしてほしくないのは、
すべてのボランティアが自立を阻害してきたわけではありません。
ボランティアの力が無ければ、様々な問題は実際に解決できなかったと思いますし、
今も、地域の支えになっている方はたくさんいらっしゃいます。
しかし、地域の自治の原則は、
「何をして欲しいかを声に出して求めることではなく、
地域に住む自分たちが地域に何が出来るかを考え、提案すること」です。
そんな中、地域の方が自分で出来る事すら、自分たちの生活費になる助成金が欲しいから、と
地域の手に渡すことを拒み、活動を続けているボランティアがいるのは
紛れもない事実です。
私はそんなボランティアではない、と自身で思っていても、
ボランティアであることには変わりはないのです。
復興が遅々として進まない原因を作っているのは、
何も政治だけではないのです。
支援をしている、私たちにも原因は必ずあります。
だからといって、
「もうボランティアは不要」
という安易な結論に至るべきではありません。
いまも、一部で手が足りないのは紛れもない事実です。
私たちの心の在り方が重要なのです。
「良い事をしている」と自己満足に終わることなく、
自分たちの行ったことが結果的にマイナスの事を生んでいないか、
考える必要が必ずあるのです。
そのうえで、
活動を継続しなければならない時期に来ているのでしょう。。。
様々な事を考えながらも、
「それをすることで、あなたが収入を得られる仕組みが作れて、
かつ、収入を得られるサポートスタッフが複数見つけられるのであれば、
検討したほうが良いでしょう。それ以外は断ってください。」
とだけ伝えました。
経済的にかなり厳しい状況にある被災地で、
1000人以上の方が住まう地域コミュニティの管理を行う。
ボランティアでできるレベルではありません。
それに、別の地域ですが、
仮設住宅の環境を良くするために、ひたすら頑張っていた、
とある地域の自治会長さんはうつ病になってしまい、
現在は人と会う事を拒み、寝込んでいます。。
それほどまでに、大変なものなのです。
近日中にその会合にアドバイザーとして参加させていただく事になりました。
何が出来るかはわかりませんが、
地域の方にとって、本当に意味のある仕組みとは、
どのようなものなのか、、
何より、頑張っている方が損をしないためには
どうすれば良いのか?
地域の方の生活に、影響を及ぼす事を行う者の責任として、
真剣に考えたいと思います。
社団法人みんなのとしょかん
川端 秀明
いろいろご苦労様です。ボランティア活動の難しさがよくわかりました。本来は収入を考えないのが純粋なボランティア活動だと思いますが、行政ができないことをサポートするシステムを今後どのように作っていくか考えるいいチャンスですね。やはり被災された方たちの「自立」を促し、自立できるまでをサポートできるシステムということを考えればやはりそれをその地域での継続ビジネスにしようとすると無理がありますね。ただ今後災害がふえてくるでしょうし、サポートを必要とされる方も増加していくと思われますので、それを行政が柔軟にNPOやNGOと仕事ができるような仕組みができるといいですね。
マイナーなことですが、上の「とある仮設住宅の現状について」は川端さんがお書きになっていると思いますが、コメントの下にお名前を書かれたほうがはっきりしていいなと思いました。
新井さま
まさに的を得ているコメントをいただき有難うございます。
この地域(仮設住宅)の自立という視点で見ると、
まさに中長期的なビジネスの視点は持てませんし、
持つべきではないと思います。
数年後にはここに住まう方々は復興住宅等に移住しますので、、、
とは言え、仕事がなく、自治会費も払えない方が多く住む仮設住宅で、
無償で継続することもやはり限界が生じます。
いかに今回の地域が自立するスキームを確立させ、
そのうえで、どうすれば他の事象に対応できるかを考えたうえで、
仕組みをしっかりと作ることまで考えなければ、
という事を痛切に感じています。
地域と、行政と、NPO、
それぞれの長所を生かし、
バランスのとれた地域運営を心がけていくべきですね。
追伸
個人名、付け足しておきました。
ご指摘ありがとうございます!
リンク掲載のご報告
はじめまして。
「募米」というボランティア活動を行っている渡邉と申します。
突然のメールで失礼いたします。
現地の状況を皆で共有することが第一に大切だと感じて、
「仮設住宅の現状レポート」というページを作りました。
http://watagonia.com/food/genjyou_index.html
そのページの中から、貴サイトにリンクを貼らせて頂きましたのでご報告いたします。
リンク掲載に問題がございましたら、ご返信ください。
また、メール投稿も受け付けておりますので、ご活用頂ければ嬉しいです。
今後ともよろしくお願いします。
渡辺